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+-- 蟲姫物語~永遠の愛 --+

 投稿者:久遠 駿介  投稿日:2009年 3月30日(月)06時42分44秒
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  むかしむかし。
ある村に、貧しいけれど心の優しい、「馬吉」という男が
おりました。
馬吉には美しい恋人がいました。
二人は心から愛し合い、それは「永遠の愛」だと信じていました。

ところがある日。
その村の殿が娘を見初め城に上げてしまいます。
二人は引き裂かれてしまったのです。
城に上げられた娘は、毎日泣いて暮らしていました。

馬吉は娘を奪い返そうと何度も城に足を運びますが、
中に入ることすら出来ません。
城の外にまで届く姫の悲しい歌。
そこで彼は、木曾野神社に祀られる蟲に望みをかけました。
たとえ人としての姿を失ってもいい。
馬吉は蟲に、娘への「永遠の愛」を誓い、
「娘を奪い返したい」と願います。

蟲は男の心に入り込みます。
男は蟲に姿を変え、城に忍び込みました。
やっとたどり着いた姫の部屋。
だが、殿にみつかり踏み潰されてしまいます。

そんな事を知らず、娘は殿の優しさ、愛情に幸せを感じ
少しずつ馬吉を忘れていきました。
姫と殿はたくさんの子供に恵まれ、幸せに暮らしていました。

男が人の姿に戻った時には、すでに長い年月が過ぎ、
殿は亡くなっていました。

やっと会えたね。

ところが・・・
老いた彼女は、彼のことをすっかり忘れていたのです。
男は彼女になんとか思い出させようと想いを語りましたが、
それでも彼女は思い出しません。
そしてある日、彼女は静かに息をひきとります。

悲しみに暮れる男を心配そうに覗き込む幼子がいました。
それは殿と娘の間に生まれた最後の子供であり、
たった一人の女児、「雪姫」でした。
幼い雪姫は母君の死をまだ理解出来ず、無邪気に
振り舞います。
その愛らしい笑顔。
それは昔、自分の隣でいつも優しく微笑んだ、
あの笑顔によく似ていました。
男は「雪姫」を自分の愛した女性の生まれ変わりと思い込み、
城から連れ出してしまいます。
そして姫を自分の生まれ故郷に隠し、彼女が成人するまで
眠りにつきます。

長い眠りから目覚めた馬吉は、大人になった雪姫を
迎えにいきました。
ですが彼女は、あの「殿」の生まれ変わりと一緒になり
城に入っていたのです。

彼のたった一つの願い。「殿から姫を奪い返す」。
雪姫の前に姿を現す馬吉。
大人になった姫は昔男が愛した女性にそっくりでした。
雪姫は彼のことを覚えているはずもありません。
ですがなぜか男に惹かれてしまいます。
彼女に流れる母の血、母の遠い記憶が
そうさせたのでしょうか。
姫は夫と城を捨て、二人は幸せな時間を過ごします。
雪姫は子供を宿しました。
ところが姫はある日突然「あなたとの事は気の迷いだった」
と言い、殿の元へ帰ってしまいました。

「なぜ?」
あの日永遠の愛を誓ったのに。
自分の想いはあの時と少しも変わらないのに。
彼女はあの幸せだった日々を、私のことを、
忘れてしまったのか?

「あの男のせいで・・・」。
自分から2度も愛する女性を奪った殿への憎しみを、
止めることは出来ませんでした。

男の心に住む蟲は、こう告げます。
「お前の愛する娘は雪姫ではない。
 雪姫はお前でなく殿を選んだ。お前を裏切ったのだ。
 もうすぐ雪姫に娘が生まれる。
 その日が来たら雪姫を生贄にし、
 幼子をあの神社に連れてくるのだ。
 その娘が成人した時に
 お前の愛した女に逢えるであろう」

男はその時が来るまで
自分の悲しみを癒すように眠りました。

男が目覚めると、既に5年の月日が流れていました。
愛しい雪姫との再会。
ですが姫は男の姿を見ると恐怖に怯え、
殿の後ろに隠れてしまいます。
やはりこの姫は私の愛した女ではなかった・・・。
何もかも全て殿のせい・・・。
男は殿に怪我を負わせ、雪姫に手かせをはめ、
城の地下に隠した棺に閉じ込めてしまいます。

「いつかもう一度出会える時まで、僕は君を待ち続けている。
それまでは少しだけサヨナラだ」

男は雪姫の中に一度は見た、最愛の女性につぶやきました。
そして男は、城に火をつけ、幼い娘と姿を消します。

雪姫はなぜ自分がこのような苦しみを受けるのか
わからないまま、棺の中で息を引き取ります。
その苦しみは、のろいとなり、男に永遠の命を授けます。
男は、歳をとらず、死ぬこともなく、呪われた命を手にしました。

男は幼い娘を神社に連れていき、永遠の愛を誓います。
娘は、蟲の儀式を受け、その日が来るまで記憶を封印されます。
その娘を故郷に隠した男は彼女が成人するまで眠りにつきます。
今度こそ、最愛の女性に再会することを夢みながら・・・。
 
 
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